法律 50音 年別(昭和27年)

農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)

※1:平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号

農地法等の一部を改正する法律
(農地法の一部改正)
第一条
の一部を次のように改正する。
目次を次のように改める。

   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (全面改正・開始) ----------
  目 次
第一章 総則(第一条〜第二条の二)
第二章 権利移動及び転用の制限等(第三条〜第十五条)
第三章 利用関係の調整等(第十六条〜第二十九条)
第四章 遊休農地に関する措置(第三十条〜第四十四条)
第五章 雑則(第四十五条〜第六十三条の二)
第六章 罰則(第六十四条〜第六十九条)
附則
   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (終了) ----------

   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (全面改正・開始) ----------
  (目的)
第一条 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (終了) ----------

第二条
 2〜5 削除
  ・・・・・・「世帯員「世帯員等・・・・・・をいう。この場合において、世帯員のいずれかについて生じた左に掲げる事由により世帯員が一時住居又は生計を異にしても、これらの者は、なお住居又は生計を一にするものとみなす(次に掲げる事由により一時的に住居又は生計を異にしている親族を含む。)並びに当該親族の行う耕作又は養畜の事業に従事するその他の二親等内の親族をいう・・・・・・
 
  二 ・・・・・・トに掲げる者の有する議決権のチに掲げる者の有する議決権の・・・・・・であり、かつ、トに掲げる者の有する議決権がいずれもその法人の総株主の議決権の十分の一以下であるものであるもの(チに掲げる者の中に、その法人と連携して事業を実施することによりその法人の農業経営の改善に特に寄与する者として政令で定める者があるときは、チに掲げる者の有する議決権の合計が総株主の議決権の二分の一未満であり、かつ、チに掲げる者のうち当該政令で定める者以外の者の有する議決権の合計が総株主の議決権の四分の一以下であるもの)・・・・・・トに掲げる者の数チに掲げる者の数・・・・・・四分の一以下であるもの(チに掲げる者の中に、当該政令で定める者があるときは、チに掲げる者の数が社員の総数の二分の一未満であり、かつ、チに掲げる者のうち当該政令で定める者以外の者の数が社員の総数の四分の一以下であるもの)・・・・・・
   ハ ・・・・・・次条第一項又は第七十三条第一項第三条第一項・・・・・・
    ・・・・・・同項同法第八条第一項・・・・・・(市町村及び農業協同組合を除く。)・・・・・・
   
   
   ホ その法人に農作業(農林水産省令で定めるものに限る。)の委託を行つている個人
 
 9 削除

   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (追加・開始) ----------
  (農地について権利を有する者の責務)
第二条の二 農地について所有権又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならない。
   ---------- 平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号 (終了) ----------

   第二章 農地及び採草放牧地第二章 権利移動及び転用の制限等

第二章第一節から第六節までの節名、第三章の章名、同章第一節から第三節までの節名並びに第四章及び第五章の章名を削る。
第三条第一項第一号及び第二号を次のように改める。
  一 第四十六条第一項又は第四十七条の規定によつて所有権が移転される場合
  二 第三十六条第三項の規定により都道府県知事が作成した調停案の受諾に伴い所有権が移転され、又は賃借権が設定され、若しくは移転される場合
第三条第一項中第十号を第十六号とし、第九号を第十五号とし、第八号を第十四号とし、第七号の三を削り、同項第七号の二中「第四条第二項」を「第八条第一項」に改め、「農地保有合理化法人」という。)」の下に「又は同法第十一条の十二に規定する農地利用集積円滑化団体(以下「農地利用集積円滑化団体」という。)」を加え、「同項第一号」を「同法第四条第二項第一号」に改め、同号を同項第十三号とし、同項第七号中「で準用する」を「において準用する」に改め、同号を同項第十二号とし、同項中第六号を第十一号とし、第五号を第十号とし、第四号の六を第九号とし、第四号の五を第八号とし、第四号の三及び第四号の四を削り、同項第四号の二中「第四条第三項第一号」を「第四条第四項第一号」に改め、同号を同項第七号とし、同項中第四号を第六号とし、第三号を第五号とし、第二号の二を削り、第二号の次に次の二号を加える。
  三 第三十七条から第四十条までの規定によつて第三十七条に規定する特定利用権が設定される場合
  四 第四十三条の規定によつて同条第一項に規定する遊休農地を利用する権利が設定される場合
第三条第二項ただし書中「行う農業協同組合」の下に「又は農業協同組合連合会」を加え、「第二号に掲げる権利が取得されることとなるとき」を「第一号に掲げる権利が取得されることとなるとき、同法第十一条の三十一第一項第一号に掲げる場合において農業協同組合又は農業協同組合連合会が使用貸借による権利又は賃借権を取得するとき」に、「第二号の二、第四号、第五号及び第八号」を「第一号、第二号、第四号及び第五号」に改め、同項第一号を削り、同項第二号中「世帯員」を「世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者」に、「について」を「を効率的に利用して」に改め、同号を同項第一号とし、同項第二号の二中「及び農業経営基盤強化促進法第四条第四項に規定する特定法人(以下「特定法人」という。)」を削り、同号を同項第二号とし、同項第二号の三、第二号の四及び第三号を削り、同項第二号の五中「第二号」を「第一号」に改め、同号を同項第三号とし、同項第四号中「第二号」を「第一号」に改め、「及び特定法人」を削り、「世帯員」を「世帯員等」に改め、同項第五号中「第二号」を「第一号」に、「世帯員」を「世帯員等」に、「都道府県知事」を「農業委員会」に、「その都道府県の区域の」を「市町村の区域の全部又は」に改め、「を定め」の下に「、農林水産省令で定めるところにより」を加え、同項第六号を削り、同項第七号中「小作地又は小作採草放牧地について」を「農地又は採草放牧地につき所有権以外の権原に基づいて」に、「その小作地又は小作採草放牧地」を「その土地」に、「その土地の小作農」を「当該事業を行う者」に、「世帯員」を「世帯員等」に、「前条第六項」を「第二条第二項」に改め、「、農地保有合理化法人」の下に「又は農地利用集積円滑化団体」を加え、「、同意市町村又は農地保有合理化法人がその土地を特定法人貸付事業の実施により貸し付けようとする場合」を削り、「水田裏作」の下に「(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培することをいう。以下同じ。)」を加え、同号を同項第六号とし、同号の次に次の一号を加える。
  七 第一号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業の内容並びにその農地又は採草放牧地の位置及び規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
第三条第二項第八号を削り、同条中第四項を第七項とし、第三項を第五項とし、同項の次に次の一項を加える。
 6 農業委員会又は都道府県知事は、第三項の規定により第一項の許可をする場合には、当該許可を受けて農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権の設定を受けた者が、農林水産省令で定めるところにより、毎年、その農地又は採草放牧地の利用の状況について、農業委員会又は都道府県知事に報告しなければならない旨の条件を付けるものとする。
第三条第二項の次に次の二項を加える。
 3 農業委員会又は都道府県知事は、農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権が設定される場合において、次に掲げる要件のすべてを満たすときは、前項(第二号及び第四号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、第一項の許可をすることができる。
  一 これらの権利を取得しようとする者がその取得後においてその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合に使用貸借又は賃貸借の解除をする旨の条件が書面による契約において付されていること。
  二 これらの権利を取得しようとする者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。
  三 これらの権利を取得しようとする者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員のうち一人以上の者がその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること。
 4 農業委員会又は都道府県知事は、前項の規定により第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、その農地又は採草放牧地の存する市町村の長に、その旨を通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた市町村長は、市町村の区域における農地又は採草放牧地の農業上の適正かつ総合的な利用を確保する見地から必要があると認めるときは、意見を述べることができる。
第三条の次に次の二条を加える。
  (農地又は採草放牧地の権利移動の許可の取消し等)
第三条の二 農業委員会又は都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合には、農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権の設定を受けた者(前条第三項の規定の適用を受けて同条第一項の許可を受けた者に限る。次項第一号において同じ。)に対し、相当の期限を定めて、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
  一 その者がその農地又は採草放牧地において行う耕作又は養畜の事業により、周辺の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障が生じている場合
  二 その者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行つていないと認める場合
  三 その者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員のいずれもがその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事していないと認める場合
 2 農業委員会又は都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第三項の規定によりした同条第一項の許可を取り消さなければならない。
  一 農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権の設定を受けた者がその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められるにもかかわらず、当該使用貸借による権利又は賃借権を設定した者が使用貸借又は賃貸借の解除をしないとき。
  二 前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかつたとき。
 3 農業委員会は、前条第三項第一号に規定する条件に基づき使用貸借若しくは賃貸借が解除された場合又は前項の規定による許可の取消しがあつた場合において、その農地又は採草放牧地の適正かつ効率的な利用が図られないおそれがあると認めるときは、当該農地又は採草放牧地の所有者に対し、当該農地又は採草放牧地についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定のあつせんその他の必要な措置を講ずるものとする。

  (農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
 2 農業委員会は、前項の規定による届出があつた場合において、その農地又は採草放牧地の適正かつ効率的な利用が図られないおそれがあると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該農地又は採草放牧地についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転のあつせんその他の必要な措置を講ずるものとする。
第四条第一項中「除く」の下に「。第五項において同じ」を加え、第一号を削り、第二号を第一号とし、同項第三号中「都道府県が」の下に「、道路、農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であつて農林水産省令で定めるものの用に供するため、」を加え、同号を同項第二号とし、同項第三号の二中「第四条第三項第一号」を「第四条第四項第一号」に改め、同号を同項第三号とし、同項中第六号を第八号とし、第五号を第七号とし、第四号を第六号とし、第三号の四を第五号とし、第三号の三を第四号とし、同条に次の二項を加える。
 5 国又は都道府県が農地を農地以外のものにしようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県と都道府県知事との協議(その者が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする場合には、農林水産大臣との協議)が成立することをもつて同項の許可があつたものとみなす。
 6 第三項の規定は、都道府県知事が前項の協議を成立させようとする場合について準用する。
第五条第一項中「次項」の下に「及び第四項」を、「ものを除く」の下に「。第四項において同じ」を加え、第一号を次のように改める。
  一 国又は都道府県が、前条第一項第二号の農林水産省令で定める施設の用に供するため、これらの権利を取得する場合
第五条第一項第四号を同項第七号とし、同項第三号中「前条第一項第五号」を「前条第一項第七号」に改め、同号を同項第六号とし、同項中第二号を第五号とし、第一号の四を第四号とし、第一号の三を第三号とし、同項第一号の二中「第四条第三項第一号」を「第四条第四項第一号」に改め、同号を同項第二号とし、同条第三項中「第三条第三項及び第四項」を「第三条第五項及び第七項」に改め、同条に次の二項を加える。
 4 国又は都道府県が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県と都道府県知事との協議(これらの権利を取得する者が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について権利を取得する場合には、農林水産大臣との協議)が成立することをもつて第一項の許可があつたものとみなす。
 5 前条第三項の規定は、都道府県知事が前項の協議を成立させようとする場合について準用する。
第六条から第十五条までを削る。
第十五条の二第二項中「第二条第七項各号」を「第二条第三項各号」に、「とるべき」を「講ずべき」に改め、同条を第六条とする。
第十五条の三の見出し中「場合等」を「場合」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に改め、同項後段を削り、同項を同条第二項とし、同項の次に次の一項を加える。
 3 農業委員会は、前項の規定による公示をしたときは、遅滞なく、その土地の所有者に同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。ただし、過失がなくてその者を確知することができないときは、この限りでない。
第十五条の三第四項中「第二十条第一項」を「第十八条第一項」に、「前項」を「第二項」に改め、同条第五項中「第三項」を「第二項」に、「第二条第七項各号」を「第二条第三項各号」に改め、同条第八項中「第三項の規定により」を「第二項の規定により」に、「使用収益権」を「所有権以外の権原」に改め、「第一項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地にあつては」及び「、第二項の規定による買収をすべき農地又は採草放牧地にあつては第三項の規定による公示の日」を削り、「又は賃貸借」を「賃貸借」に、「した」を「し、又はその他の使用及び収益を目的とする権利を消滅させた」に改め、「又は第二項」を削り、「第二十条第一項」を「第十八条第一項」に改め、同条第十項を削り、同条を第七条とし、同条の次に次の六条を加える。

  (農業委員会の関係書類の送付)
第八条 農業委員会は、前条第一項の規定により国が農地又は採草放牧地を買収すべき場合には、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書類を農林水産大臣に送付しなければならない。
  一 その農地又は採草放牧地の所有者の氏名又は名称及び住所
  二 その農地又は採草放牧地の所在、地番、地目及び面積
  三 その農地若しくは採草放牧地の上に先取特権、質権若しくは抵当権がある場合又はその農地若しくは採草放牧地につき所有権に関する仮登記上の権利若しくは仮処分の執行に係る権利がある場合には、これらの権利の種類並びにこれらの権利を有する者の氏名又は名称及び住所
 2 農業委員会は、前項の書類を送付する場合において、買収すべき農地若しくは採草放牧地の上に先取特権、質権若しくは抵当権があるとき又はその農地若しくは採草放牧地につき所有権に関する仮登記上の権利若しくは仮処分の執行に係る権利があるときは、これらの権利を有する者に対し、農林水産省令で定めるところにより、対価の供託の要否を二十日以内に農林水産大臣に申し出るべき旨を通知しなければならない。

  (買収令書の交付及び縦覧)
第九条 農林水産大臣は、前条第一項の規定により送付された書類に記載されたところに従い、遅滞なく(同条第二項の規定による通知をした場合には、同項の期間経過後遅滞なく)、次に掲げる事項を記載した買収令書を作成し、これをその農地又は採草放牧地の所有者に、その謄本をその農業委員会に交付しなければならない。
  一 前条第一項各号に掲げる事項
  二 買収の期日
  三 対価
  四 対価の支払の方法(次条第二項の規定により対価を供託する場合には、その旨)
  五 その他必要な事項
 2 農林水産大臣は、前項の規定による買収令書の交付をすることができない場合には、その内容を公示して交付に代えることができる。
 3 農業委員会は、買収令書の謄本の交付を受けたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、その公示の日の翌日から起算して二十日間、その事務所でこれを縦覧に供しなければならない。

  (対価)
第十条 前条第一項第三号の対価は、政令で定めるところにより算出した額とする。
 2 買収すべき農地若しくは採草放牧地の上に先取特権、質権若しくは抵当権がある場合又はその農地若しくは採草放牧地につき所有権に関する仮登記上の権利若しくは仮処分の執行に係る権利がある場合には、これらの権利を有する者から第八条第二項の期間内に、その対価を供託しないでもよい旨の申出があつたときを除いて、国は、その対価を供託しなければならない。
 3 国は、前項に規定する場合のほか、次に掲げる場合にも対価を供託することができる。
  一 対価の支払を受けるべき者が受領を拒み、又は受領することができない場合
  二 過失がなくて対価の支払を受けるべき者を確知することができない場合
  三 差押え又は仮差押えにより対価の支払の禁止を受けた場合
 4 前二項の規定による対価の供託は、買収すべき農地又は採草放牧地の所在地の供託所にするものとする。

  (効果)
第十一条 国が買収令書に記載された買収の期日までにその買収令書に記載された対価の支払又は供託をしたときは、その期日に、その農地又は採草放牧地の上にある先取特権、質権及び抵当権並びにその農地又は採草放牧地についての所有権に関する仮登記上の権利は消滅し、その農地又は採草放牧地についての所有権に関する仮処分の執行はその効力を失い、その農地又は採草放牧地の所有権は国が取得する。
 2 前項の規定により消滅する先取特権、質権又は抵当権を有する者は、前条第二項又は第三項の規定により供託された対価に対してその権利を行うことができる。
 3 国が買収令書に記載された買収の期日までにその買収令書に記載された対価の支払又は供託をしないときは、その買収令書は、効力を失う。
 4 第一項及び前項の規定の適用については、国が、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十一条第一項の規定により、対価の支払に必要な資金を日本銀行に交付して送金の手続をさせ、その旨をその農地又は採草放牧地の所有者に通知したときは、その通知が到達した時を国が対価の支払をした時とみなす。

  (附帯施設の買収)
第十二条 第七条第一項の規定による買収をする場合において、農業委員会がその買収される農地又は採草放牧地の農業上の利用のため特に必要があると認めるときは、国は、その買収される農地又は採草放牧地の所有者の有する土地(農地及び採草放牧地を除く。)、立木、建物その他の工作物又は水の使用に関する権利(以下「附帯施設」という。)を併せて買収することができる。
 2 第八条から前条までの規定は、前項の規定による買収をする場合に準用する。この場合において、第八条第一項第二号中「その農地又は採草放牧地の所在、地番、地目及び面積」とあるのは、「土地についてはその所在、地番、地目及び面積、立木についてはその樹種、数量及び所在の場所、工作物についてはその種類及び所在の場所、水の使用に関する権利についてはその内容」と読み替えるものとする。

  (登記の特例)
第十三条 国が第七条第一項又は前条第一項の規定により買収をする場合の土地又は建物の登記については、政令で、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の特例を定めることができる。
第十五条の四第一項中「前条」を「第七条第一項」に改め、同条第二項中「関係者の要求があるときは、」を「関係者に」に改め、同条を第十四条とする。
第十六条を削る。
第十七条中「第十条第二項(第十四条第二項(第十五条第二項、第十五条の三第十項又は前条第二項で準用する場合を含む。以下この条において同じ。)、第十五条第二項、第十五条の三第十項又は前条第二項で」を「第八条第二項(第十二条第二項において」に、「第十一条(第十四条第二項、第十五条第二項、第十五条の三第十項又は前条第二項で」を「第九条(第十二条第二項において」に改め、同条を第十五条とし、同条の次に次の章名を付する。

   第三章 利用関係の調整等
第十八条を第十六条とする。
第十九条中「世帯員」を「世帯員等」に、「第二条第六項」を「第二条第二項」に改め、同条ただし書中「第七十五条の二から第七十五条の七までの規定によつて設定された草地利用権(その存続期間が更新されたものにあつては、その更新が第七十五条の七第一項の規定又は同条第二項で準用する第七十五条の二第二項から第五項まで及び第七十五条の三から第七十五条の六までの規定によつてされたものに限る。次条第一項第四号で同様とする。)に係る賃貸借、」を「第三十七条から第四十条までの規定によつて設定された第三十七条に規定する特定利用権に係る賃貸借及び」に、「第四条第三項第一号」を「第四条第四項第一号」に改め、「及び同法第二十七条の五から第二十七条の八までの規定によつて設定された同法第二十七条の五に規定する特定利用権に係る賃貸借」を削り、同条を第十七条とする。
第二十条第一項第一号から第三号までの規定中「行なわれる」を「行われる」に改め、同項第四号を次のように改める。
  四 第三条第三項の規定の適用を受けて同条第一項の許可を受けて設定された賃借権に係る賃貸借の解除が、賃借人がその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合において、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て行われる場合
第二十条第一項第五号中「農業経営基盤強化促進法第二十七条の五から第二十七条の八までの規定によつて設定された同法第二十七条の五」を「第三十七条から第四十条までの規定によつて設定された第三十七条」に、「同法第二十七条の十」を「第四十一条」に改め、同項第六号を次のように改める。
  六 農業経営基盤強化促進法第十九条の規定による公告があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて同法第十八条第二項第六号に規定する者に設定された賃借権に係る賃貸借の解除が、その者がその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合において、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て行われる場合
第二十条第二項第四号中「世帯員」を「世帯員等」に、「行なう」を「行う」に改め、同条第七項中「小作条件」を「賃貸借の条件」に改め、同第八項中「特定法人が農業経営基盤強化促進法第二十七条の十三第二項の協定に違反した場合に当該賃貸借の解除をすることを内容とするもの」を「第三条第三項第一号及び農業経営基盤強化促進法第十八条第二項第六号に規定する条件」に改め、同条を第十八条とし、同条の次に次の一条を加える。

  (農地又は採草放牧地の賃貸借の存続期間)
第十九条 農地又は採草放牧地の賃貸借についての民法第六百四条(賃貸借の存続期間)の規定の適用については、同条中「二十年」とあるのは、「五十年」とする。
第二十一条の前の見出しを削り、同条に見出しとして「(借賃等の増額又は減額の請求権)」を付し、同条第一項中「小作料の額が」を「借賃等(耕作の目的で農地につき賃借権又は地上権が設定されている場合の借賃又は地代(その賃借権又は地上権の設定に付随して、農地以外の土地についての賃借権若しくは地上権又は建物その他の工作物についての賃借権が設定され、その借賃又は地代と農地の借賃又は地代とを分けることができない場合には、その農地以外の土地又は工作物の借賃又は地代を含む。)及び農地につき永小作権が設定されている場合の小作料をいう。以下同じ。)の額が」に、「小作料の額に」を「借賃等の額に」に、「小作料の額の」を「借賃等の額の」に改め、同項ただし書中「小作料」を「借賃等」に改め、同条第二項及び第三項中「小作料」を「借賃等」に改め、同条を第二十条とする。
第二十二条から第二十四条までを削る。
第二十五条の見出し中「及び通知」を削り、同条第一項中「小作料」を「借賃等」に、「附随する」を「付随する」に改め、同条第二項を削り、同条を第二十一条とする。
第二十六条から第三十二条までを削る。
第三十三条第一項中「競売の」を「担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。以下単に「競売」という。)の」に改め、同条第二項中「第十二条第一項(第十五条第二項で準用する場合を含む。以下この条及び次条において同じ。)」を「第十条第一項」に改め、同項第一号及び同条第三項中「第十二条第一項」を「第十条第一項」に改め、同条を第二十二条とする。
第三十四条第一項中「国税滞納処分等により」を「国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)による滞納処分(その例による滞納処分を含む。)により」に、「国税滞納処分等を」を「当該滞納処分を」に、「第十二条第一項」を「第十条第一項」に改め、同条を第二十三条とする。
第三十五条中「第三十三条又は前条」を「前二条」に改め、同条を第二十四条とする。
第三十六条から第四十三条までを削り、第四十三条の二を第二十五条とする。
第四十三条の三第一項中「第二十条第一項本文」を「第十八条第一項本文」に、「行なう」を「行う」に、「聞かなければ」を「聴かなければ」に改め、同条を第二十六条とし、第四十三条の四を第二十七条とする。
第四十三条の五第一項中「第四十三条の二第一項ただし書」を「第二十五条第一項ただし書」に、「行なう」を「行う」に改め、同条を第二十八条とする。
第四十四条を削る。
第四十三条の六中「この節」を「第二十五条から前条まで」に改め、同条を第二十九条とし、同条の次に次の一章及び章名を加える。
   第四章 遊休農地に関する措置

  (利用状況調査及び指導)
第三十条 農業委員会は、毎年一回、その区域内にある農地の利用の状況についての調査(以下「利用状況調査」という。)を行わなければならない。
 2 農業委員会は、必要があると認めるときは、いつでも利用状況調査を行うことができる。
 3 農業委員会は、前二項の規定による利用状況調査の結果、次の各号のいずれかに該当する農地があるときは、その農地の所有者(その農地について所有権以外の権原に基づき使用及び収益をする者がある場合には、その者及びその農地の所有者。第三十二条において同じ。)に対し、当該農地の農業上の利用の増進を図るため必要な指導をするものとする。
  一 現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地
  二 その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣つていると認められる農地(前号に掲げる農地を除く。)
 4 前項の規定は、第四条第一項又は第五条第一項の許可に係る農地その他農林水産省令で定める農地については、適用しない。

  (農業委員会に対する申出)
第三十一条 次に掲げる者は、前条第三項各号のいずれかに該当する農地があると認めるときは、その旨を農業委員会に申し出て適切な措置を講ずべきことを求めることができる。
  一 その農地の存する市町村の区域の全部又は一部をその地区の全部又は一部とする農業協同組合、土地改良区その他の農林水産省令で定める農業者の組織する団体
  二 その農地の周辺の地域において農業を営む者(その農地によつてその者の営農条件に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるものに限る。)
 2 農業委員会は、前項の規定による申出があつたときは、当該農地についての利用状況調査その他適切な措置を講じなければならない。

  (遊休農地である旨の通知等)
第三十二条 農業委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合は、農林水産省令で定めるところにより、当該農地の所有者に対し、当該農地が遊休農地である旨及び当該農地が第三十条第三項各号のいずれに該当するかの別を通知するものとする。ただし、過失がなくて通知を受けるべき遊休農地の所有者を確知することができないときは、その旨を公告するものとする。
  一 第三十条第三項の規定による指導をした場合においてもなお相当期間当該指導に係る農地の農業上の利用の増進が図られない場合
  二 第三十条第三項の規定による指導に係る農地につき所有権に関する仮登記上の権利が設定されていることを理由にその農地の所有者が当該指導に従う意思がない旨を表明したときその他その農地の農業上の利用の増進が図られないことが明らかであると認められる場合
  三 その農地について第三十条第三項の規定による指導をすることができない場合

  (遊休農地の農業上の利用に関する計画の届出)
第三十三条 前条の規定による通知を受けた遊休農地の所有者(当該遊休農地について所有権以外の権原に基づき使用及び収益をする者がある場合には、その者。以下「所有者等」という。)は、農林水産省令で定める事由に該当する場合を除き、当該通知があつた日から起算して六週間以内に、農林水産省令で定めるところにより、当該通知に係る遊休農地の農業上の利用に関する計画を農業委員会に届け出なければならない。
 2 前項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る計画に当該遊休農地の農業経営基盤強化促進法第四条第四項第一号に規定する利用権の設定等についてあつせんを受けたい旨の記載があるときは、同法第十三条第一項の農用地の所有者からの申出があつたものとみなして、同条及び同法第十三条の二の規定を適用する。

  (勧告)
第三十四条 農業委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該遊休農地の所有者等に対し、相当の期限を定めて、当該遊休農地の農業上の利用の増進を図るために必要な措置を講ずべきことを勧告するものとする。
  一 前条第一項の規定による届出に係る計画の内容が当該遊休農地の農業上の利用の増進を図る上で適切でないと認める場合
  二 前条第一項の規定による届出がない場合
  三 前条第一項の規定による届出に係る計画に従つて当該遊休農地の農業上の利用が行われていないと認める場合
 2 農業委員会は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることができる。

  (所有権の移転等の協議)
第三十五条 農業委員会は、第三十条第三項第一号に該当する農地について前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る遊休農地の所有権の移転又は賃借権の設定若しくは移転(以下「所有権の移転等」という。)を希望する農地保有合理化法人、農地利用集積円滑化団体又は特定農業法人(農業経営基盤強化促進法第二十三条第四項に規定する特定農業法人をいう。)で農林水産省令で定める要件に該当するもの(以下「農地保有合理化法人等」という。)のうちから所有権の移転等に関する協議を行う者を指定して、その者が所有権の移転等に関する協議を行う旨を当該勧告を受けた遊休農地の所有者等に通知するものとする。
 2 前項の規定により協議を行う者として指定された農地保有合理化法人等は、同項の規定による通知があつた日から起算して六週間を経過する日までの間、当該通知を受けた者と当該通知に係る遊休農地の所有権の移転等に関する協議を行うことができる。この場合において、当該通知を受けた者は、正当な理由がなければ、当該遊休農地の所有権の移転等に関する協議を行うことを拒んではならない。
 3 前項の規定による協議に係る遊休農地の所有権の移転等を受けた農地保有合理化法人等は、当該遊休農地を含む周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に資するよう当該遊休農地の農業上の利用の増進に努めるものとする。

  (調停)
第三十六条 前条第二項の規定による協議が調わず、又は協議を行うことができないときは、同条第一項の規定による指定を受けた農地保有合理化法人等は、同項の規定による通知があつた日から起算して二月以内に、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その協議に係る所有権の移転等につき必要な調停をなすべき旨を申請することができる。
 2 都道府県知事は、前項の規定による申請があつたときは、速やかに調停を行うものとする。
 3 都道府県知事は、第一項の調停を行う場合には、当事者の意見を聴くとともに、前条第一項の規定による指定をした農業委員会に対し、助言、資料の提供その他必要な協力を求めて、調停案を作成しなければならない。
 4 都道府県知事は、前項の規定により調停案を作成したときは、これを当事者に示してその受諾を勧告するものとする。

  (裁定の申請)
第三十七条 都道府県知事が前条第四項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が当該勧告があつた日から起算して二月以内に当該勧告に係る調停案の受諾をしないときは、第三十五条第一項の規定による指定を受けた農地保有合理化法人等は、当該勧告があつた日から起算して六月以内に、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該勧告に係る遊休農地について、特定利用権(農地についての耕作を目的とする賃借権をいう。以下同じ。)の設定に関し裁定を申請することができる。

  (意見書の提出)
第三十八条 都道府県知事は、前条の規定による申請があつたときは、農林水産省令で定める事項を公告するとともに、当該申請に係る遊休農地の所有者等にこれを通知し、二週間を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
 2 前項の意見書を提出する者は、その意見書において、その者の有する権利の種類及び内容、その者が前条の規定による申請に係る遊休農地を現に耕作の目的に供していない理由その他の農林水産省令で定める事項を明らかにしなければならない。
 3 都道府県知事は、第一項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。

  (裁定)
第三十九条 都道府県知事は、第三十七条の規定による申請に係る遊休農地が現に耕作の目的に供されておらず、かつ、前条第一項の意見書の内容その他当該遊休農地の利用に関する諸事情を考慮して引き続き耕作の目的に供されないことが確実であると見込まれる場合において、当該申請をした者が当該遊休農地をその者の利用計画に従つて利用に供することが当該遊休農地の農業上の利用の増進を図るため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、特定利用権を設定すべき旨の裁定をするものとする。
 2 前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
  一 特定利用権を設定すべき遊休農地の所在、地番、地目及び面積
  二 特定利用権の内容
  三 特定利用権の始期及び存続期間
  四 借賃
  五 借賃の支払の方法
 3 第一項の裁定は、前項第一号から第三号までに掲げる事項については申請の範囲を超えてはならず、同項第二号に掲げる事項についてはその遊休農地の性質によつて定まる用方に従い利用することとなるものでなければならず、同項第三号に規定する存続期間については五年を限度としなければならない。
 4 都道府県知事は、第一項の裁定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聴かなければならない。

  (裁定の効果等)
第四十条 都道府県知事は、前条第一項の裁定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該裁定の申請をした者及び当該申請に係る遊休農地の所有者等に通知するとともに、これを公告しなければならない。当該裁定についての審査請求に対する裁決によつて当該裁定の内容が変更されたときも、同様とする。
 2 前条第一項の裁定について前項の規定による公告があつたときは、当該裁定の定めるところにより、当該裁定の申請をした者と当該申請に係る遊休農地の所有者等との間に特定利用権の設定に関する契約が締結されたものとみなす。
 3 民法第二百七十二条ただし書(永小作権の譲渡又は賃貸の禁止)及び第六百十二条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)の規定は、前項の場合には、適用しない。

  (特定利用権に係る賃貸借の解除)
第四十一条 前条第二項の規定により設定された特定利用権を有する者が正当な理由がなく引き続き一年以上その特定利用権に係る遊休農地の全部又は一部をその目的に供しなかつたときは、その特定利用権を設定した者は、その目的に供されていない遊休農地につき、都道府県知事の承認を受けて、その特定利用権に係る賃貸借の解除をすることができる。

  (特定利用権の譲渡等の禁止)
第四十二条
第四十条第二項の規定により設定された特定利用権を有する者は、その特定利用権を
譲り渡し、又はその特定利用権に係る遊休農地を貸し付けることができない。ただし、特定利用
権を有する農地保有合理化法人又は農地利用集積円滑化団体が、農地売買等事業により特定利用
権に係る遊休農地を貸し付ける場合は、この限りでない。

民法第六百十二条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)の規定は、前項ただし書の場合には、適用
しない。
(所有者等を確知することができない場合における遊休農地の利用)
第四十三条
第三十二条ただし書の規定による公告に係る遊休農地(第三十条第三項第一号に該当
する農地であつて、当該遊休農地の所有者等に対し第三十二条の規定による通知がされなかつた
ものに限る。)を利用する権利の設定を希望する農地保有合理化法人等は、当該公告があつた日か
ら起算して六月以内に、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該遊休農
地を利用する権利の設定に関し裁定を申請することができる。

第三十九条の規定は、前項の裁定について準用する。この場合において、同条
第一項中「前条
第一項の意見書の内容その他当該遊休農地」とあるのは「当該遊休農地」と、同項及び同条第二
項第一号から第三号までの規定中「特定利用権」とあるのは「当該遊休農地を利用する権利」と、
同項第四号中「借賃」とあるのは「借賃に相当する補償金の額」と、同項第五号中「借賃」とあ
るのは「補償金」と読み替えるものとする。

都道府県知事は、第一項の裁定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、
その旨を当該裁定の申請をした者に通知するとともに、これを公告しなければならない。当該裁
定についての審査請求に対する裁決によつて当該裁定の内容が変更されたときも、同様とする。

第一項の裁定について前項の規定による公告があつたときは、当該裁定の定めるところにより、
当該裁定の申請をした者は、当該
遊休農地を利用する権利を取得する。

第一項の裁定の申請をした者は、当該裁定において定められた当該遊休農地を利用する権利の
始期までに、当該裁定において定められた補償金を当該遊休農地の所有者等のために供託しなけ
ればならない。

前項の規定による補償金の供託は、当該遊休農地の所在地の供託所にするものとする。

第十六条及び前条第一項の規定は、第一項に規定する遊休農地を利用する権利について準用す
る。この場合において、第十六条第一項中「その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡が
あつた」とあるのは、「
その設定を受けた者が当該遊休農地の占有を始めた」と読み替えるものと
する。
(措置命令)
第四十四条
市町村長は、第三十二条の規定による通知又は公告に係る遊休農地における病害虫の
発生、土石その他これに類するものの堆
たい
積その他政令で定める事由により、当該遊休農地の周辺
の地域における営農条件に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認める場合には、必要
な限度において、当該遊休農地の所有者等に対し、期限を定めて、その支障の除去又は発生の防
止のために必要な措置(以下この条において「支障の除去等の措置」という。)を講ずべきことを
命ずることができる。

前項の規定による命令をするときは、農林水産省令で定める事項を記載した命令書を交付しな
ければならない。

市町村長は、第一項に規定する場合において、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、
自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。この場合において、第二号
に該当すると認めるときは、相当の期限を定めて、当該支障の除去等の措置を講ずべき旨及びそ
の期限までに当該支障の除去等の措置を講じないときは、自ら当該支障の除去等の措置を講じ、
当該措置に要した費用を徴収する旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられた遊休農地の所有者等
が、当該命令に係る期限までに当該命令に係る措置を講じないとき、講じ
ても十分でないとき、
又は講ずる見込みがないとき。

第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命じようとする場合において、過
失がなくて当該支障の除去等の措置を命ずべき遊休農地の所有者等を確知することができない
とき。

緊急に支障の除去等の措置を講ずる必要がある場合において、第一項の規定により支障の除
去等の措置を講ずべきことを命ずるいとまがないとき。

市町村長は、前項の規定により同項の支障の除去等の措置の全部又は一部を講じたときは、当
該支障の除去等の措置に要した費用について、農林水産省令で定めるところにより、当該遊休農
地の所有者等に負担させることができる。

前項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十
三号)第五条及び第六条の規定を準用する。
第五章
雑則
第四十五条から第七十七条までを削る。第七十八条第一項を次のように改める。国が第七条第一項若しくは第十二条第一項の規定により買収し、又は第二十二条第一項若しく
は第二十三条第一項の規定に基づく申出により買い取つた土地、立木、工作物及び権利は、政令
で定めるところにより、農林水産大臣が管理する。
第七十八条第二項を削り、同条第三項中「第一項の規定により農林水産大臣」を「前項の規定に
より農林水産大臣」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項を削り、同条を第四十五条とし、
同条の次に次の見出し及び一条を加える。
(売払い)
第四十六条
農林水産大臣は、前条第一項の規定により管理する農地及び採草放牧地について、農
林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の取得後において耕作又は養畜の事
業に供すべき農地又は採草放牧地のすべてを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認め
られる者、農地保有合理化法人、農地利用集積円滑化団体その他の農林水産省令で定める者に売
り払うものとする。ただし、次条の規定により売り払う場合は、この限りでない。

前項の規定により売り払う農地又は採草放牧地について、その農業上の利用のため第十二条第
一項の規定により併せて買収した附帯施設があるときは、これをその農地又は採草放牧地の売払
いを受ける者に併せて売り払うものとする。
第七十九条を削る。
第八十条の見出しを削り、同条第一項中「第七十八条第一項」を「第四十五条第一項」に改め、「

作農の創設又は」を削り、同条第二項を削り、同条を第四十七条とする。
第八十一条中「、漁業免許に関する登録の所管庁」及び「、使用、消滅請求、売渡し、譲与」を
削り、同条を第四十八条とする。
第八十二条第一項中「、使用」を削り、同条第二項中「証票」を「証明書」に、「
利害関係人から
要求があつたときは、」を「利害関係人に」に、「
呈示しなければ」を「提示しなければ」に改め、同
条を第四十九条とし、第八十三条を第五十条とする。
第八十三条の二中「該当する者」の下に「(
以下この条において「違反転用者等」という。)」
を加

、「、
第五条又は第七十三条」を「若しくは第五条」に、「
をとるべき」を「(
以下この条において「原
状回復等の措置」という。)を講ずべき」に改め、同条第一号中「、第五条第一項若しくは第七十三
条第一項」を「若しくは第五条第一項」に改め、同条第二号及び第四号中「、第五条第一項又は第
七十三条第一項」を「又は第五条第一項」に改め、同条に次の四項を加える。

前項の規定による命令をするときは、農林水産省令で定める事項を記載した命令書を交付しな
ければならない。

農林水産大臣又は都道府県知事は、第一項に規定する場合において、次の各号のいずれかに該
当すると認めるときは、自らその原状回復等の措置の全部又は一部を講ずることができる。この
場合において、第二号に該当すると認めるときは、相当の期限を定めて、当該原状回復等の措置
を講ずべき旨及びその期限までに当該原状回復等の措置を講じないときは、自ら当該原状回復等
の措置を講じ、当該措置に要した費用を徴収する旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

第一項の規定により原状回復等の措置を講ずべきことを命ぜられた違反転用者等が、当該命
令に係る期限までに当該命令に係る措置を講じないとき、講じても十分でないとき、又は講ず
る見込みがないとき。

第一項の規定により原状回復等の措置を講ずべきことを命じようとする場合において、過失
がなくて当該原状回復等の措置を命ずべき違反転用者等を確知することができないとき。

緊急に原状回復等の措置を講ずる必要がある場合において、第一項の規定により原状回復等
の措置を講ずべきことを命ずるいとまがないとき。

農林水産大臣又は都道府県知事は、前項の規定により同項の原状回復等の措置の全部又は一部
を講じたときは、当該原状回復等の措置に要した費用について、農林水産省令で定めるところに
より、当該違反転用者等に負担させることができる。

前項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法第五条及び第六条の規定を
準用する。
第八十三条の二を第五十一条とし、同条の次に次の一条を加える。
(情報の提供等)
第五十二条
農業委員会は、農地の農業上の利用の増進及び農地の利用関係の調整に資するため、
農地の保有及び利用の状況、借賃等の動向その他の農地に関する情報の収集、整理、分析及び提
供を行うものとする。
第八十四条及び第八十四条の二を削る。
第八十五条第一項を次のように改める。
第九条第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による買収令書の交付に
ついての異議申立て又は第三十九条第一項若しくは第四十三条第一項の裁定についての審査請求
においては、その対価、借賃又は補償金の額についての不服をその処分についての不服の理由と
することができない。ただし、同項の裁定を受けた者がその裁定に係る遊休農地の所有者等を確
知することができないことにより第五十五条第一項の訴えを提起することができない場合は、こ
の限りでない。
第八十五条第二項から第五項までを削り、同条第六項中「、第五条第一項又は第七十三条第一項」
を「又は第五条第一項」に改め、同項を同条第二項とし、同条
第七項中「第八条第一項又は第十五
条の三第三項若しくは」を「第七条第二項又は」に改め、「
行政不服審査法」の下に「(
昭和三十七年
法律第百六十号)」を加え、同項を同条第三項とし、同条第八項を同条第四項とし、同条を第五十三
条とする。
第八十五条の二第二項中「第八十三条の二」を「第五十一条第一項」に改め、「
行政手続法」の下
に「(
平成五年法律第八十八号)」を加え、同条を第五十四条とする。
第八十五条の三第一項第一号中「第十一条第一項第三号(第十四条第二項、第十五条第二項、第
十五条の三第十項及び第十六条第二項で」を「第九条第一項第三号(第十二条第二項において」に
改め、同項第二号及び第三号を次のように改める。

第三十九条第二項第四号に規定する借賃

第四十三条第二項において読み替えて準用する第三十九条第二項第四号に規定する補償金
第八十五条の三第一項第四号から第七号までを削り、同条第二項を次のように改める。

前項第一号に掲げる対価の額についての同項の訴えにおいては国を、同項第二号に掲げる借賃
の額についての同項の訴えにおいては第三十七条の規定による申請をした者又はその申請に係る
遊休農地の所有者等を、同項第三号に規定する補償金の額についての同項の訴えにおいては第四
十三条第一項の規定による申請をした者又はその申請に係る遊休農地の所有者等を、それぞれ被
告とする。
第八十五条の三第三項中「、第三号又は第六号」及び「又は補償金」を削り、「
第十二条第二項(第
十四条第二項、第十五条第二項、第十五条の三第十項及び第十六条第二項で準用する場合を含む。)又は第五十一条第二項(第五十五条第四項、第五十六条第三項、第五十八条第二項、第五十九条第
五項及び第七十二条第四項で」を「第十条第二項(第十二条第二項において」に、「第十二条第三項」
を「第十条第三項」に改め、同条
第四項中「第十三条第二項」を「第十一条第二項」に改め、「
又は
補償金」を削り、同条を第五十五条とする。
第八十六条ただし書中「(
第三章の適用については、都道府県知事)」を削り、同条を第五十六条とする。第八十七条第一項中「第八条の規定による公示又は第九条、第十五条若しくは第十五条の三」を
「第七条第一項」に、「
その公示又は」を「その」に、「
都道府県知事」を「農林水産大臣」に、「
で準
用する」を「において準用する」に改め、同条第二項中「都道府県知事」を「農林水産大臣」に改
め、同条を第五十七条とする。
第八十八条を削る。
第八十九条第一項中「第九十一条の三第二項各号」を「第六十三条第一項第四号及び第八号並び
に第二項各号」に改め、同条第二項中「第九十一条の三第一項第一号、第二号、第五号及び第六号」
を「第六十三条第一項第二号、第三号、第六号及び第七号」に改め、同条を第五十八条とし、同条
の次に次の一条を加える。
(是正の要求の方式)
第五十九条
農林水産大臣は、次に掲げる都道府県知事の事務の処理が農地又は採草放牧地の確保
に支障を生じさせていることが明らかであるとして地方自治法第二百四十五条の五第一項の規定
による求めを行うときは、当該都道府県知事が講ずべき措置の内容を示して行うものとする。

第四条第一項の規定により都道府県知事が処理することとされている事務(同一の事業の目
的に供するため二ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする行為に係るものを除く。)

第五条第一項の規定により都道府県知事が処理することとされている事務(同一の事業の目
的に供するため二ヘクタール
を超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について第三条第
一項本文に掲げる権利を取得する行為に係るものを除く。)

農林水産大臣は、前項各号に掲げる都道府県知事の事務を地方自治法第二百五十二条の十七の
二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた場合において、当該市町村
の当該事務の処理が農地又は採草放牧地の確保に支障を生じさせていることが明らかであるとし
て同法第二百四十五条の五第二項の指示を行うときは、当該市町村が講ずべき措置の内容を示し
て行うものとする。
第九十条第一項中「第二章第六節」を「第二十五条」に改め、同条を第六十条とする。
第九十一条第一項中「規定」の下に「(
指定都市にあつては、第三条第四項を除く。)」を、「
指定都
市」の下に「(
農業委員会等に関する法律第三十五条第二項の規定により区ごとに農業委員会を置か
ないこととされたものを除く。)」
を加え、同条第二項を削り、同条を第六十一条とし、第九十一条
の二を第六十二条とする。
第九十一条の三第一項中「(
第七十八条第二項を除く。)」
を削り、同項第六号中「第八十三条の二」
を「第五十一条」に、「
第一号及び第二号」を「第二号及び第三号」に改め、同号を同項第七号とし、
同項第五号中「第八十二条第一項」を「第四十九条第一項」に、「
第八十三条」を「第五十条」に、「

一号、第二号」を「第二号、第三号」に改め、同号を同項第六号とし、同項第三号及び第四号を削
り、同項第二号中「の規定及び同条第三項」を「及び第四項の規定並びに同条第三項及び第五項」
に改め、同号を同項第三号とし、同号の次に次の二号を加える。

第三十条第一項から第三項まで、第三十一条、第三十二条、第三十三条第一項、第三十四条
及び第三十五条第一項の規定により市町村が処理することとされている事務

第四十四条の規定により市町村が処理することとされている事務
第九十一条の三第一項第一号中「及び第三項」を「、第三項(同条第六項において準用する場合
を含む。)及び第五項」に改め、同号を同項第二号とし、同項に第一号として次の一号を加える。

第三条第四項の規定により市町村が処理することとされている事務(同項の規定により農業
委員会が処理することとされている事務を除く。)
第九十一条の三第一項に次の一号を加える。

第五十二条の規定により市町村が処理することとされている事務
第九十一条の三第二項第一号中「第四条第一項第五号」を「第四条第一項第七号」に改め、同項
第二号中「第五条第一項第三号」を「第五条第一項第六号」に改め、同条を第六十三条とし、同条
の次に次の一条及び章名を加える。
(運用上の配慮)
第六十三条の二
この法律の運用に当たつては、我が国の農業が家族農業経営、法人による農業経
営等の経営形態が異なる農業者や様々な経営規模の農業者など多様な農業者により、及びその連
携の下に担われていること等を踏まえ、農業の経営形態、経営規模等についての農業者の主体的
な判断に基づく様々な農業に関する取組を尊重するとともに、地域における貴重な資源である農
地が地域との調和を図りつつ農業上有効に利用されるよう配慮しなければならない。
第六章
罰則
第九十二条第一号中「、第二十条第一項(第三十二条で準用する場合を含む。次号において同じ。)
又は第七十三条第一項」を「又は第十八条第一項」に改め、同条第二号中「、第二十条第一項又は
第七十三条第一項」を「又は第十八条第一項」に改め、同条に次の一号を加える。

第五十一条第一項の規定による農林水産大臣又は都道府県知事の命令に違反した者
第九十二条を第六十四条とする。
第九十三条中「次の各号のいずれかに該当する」を「第四十九条第一項の規定による職員の調査、

量、除去又は移転を拒み、妨げ、又は忌避した」に改め、同条各号を削り、同条を第六十五条と
し、同条の次に次の一条を加える。
第六十六条
第四十四条第一項の規定による市町村長の命令に違反した者は、三十万円以下の罰金
に処する。
第九十四条中「従業者が」を「従業者が、」に、「
関し前二条」を「関し、次の各号に掲げる規定」

、「
又は人に対して前二条」を「に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条」に
改め、同条に次の各号を加える。

第六十四条第一号若しくは第二号(これらの規定中第四条第一項又は第五条第一項に係る部
分に限る。)
又は第三号
一億円以下の罰金刑

第六十四条(前号に係る部分を除く。)又は前二条

本条の罰金刑
第九十四条を第六十七条とする。
第九十五条第一号中「第十五条の二第一項の規定による」を「第六条第一項の規定に違反して、」
に改め、同条第二号中「第二十五条第二項の規定による」を「第三十三条第一項の規定に違反して、」

、「
通知」を「届出」に改め、同条に次の一号を加える。

第三十四条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第九十五条を第六十八条とし、同条の次に次の一条を加える。
第六十九条
第三条の三第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万
円以下の過料に処する。
附則第二項第一号中「除く」の下に「。次号において同じ」を加え、同項第三号を削り、同項第
二号中「除く」の
下に「。次号において同じ」を加え、同号を同項第三号とし、同項第一号の次に
次の一号を加える。

同一の事業の目的に供するため二ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする行為に係
る第四条第五項の協議を成立させようとする場合
附則第二項に次の一号を加える。

同一の事業の目的に供するため二ヘクタールを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地
について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する行為に係る第五条第四項の協議を成立させようとする場合
別表を削る。

  附 則 (平成二十一年六月二十四日 法律第五十七号) 抄

  (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
  一 附則第四十三条の規定 公布の日
  二 附則第四十条の規定 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十一年法律第号)の公布の日又はこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)のいずれか遅い日

  (権利移動及び転用の制限に関する経過措置)
第二条 第一条の規定による改正前の農地法(以下「旧農地法」という。)第三条第一項の規定又はこの規定に基づく命令の規定によってした処分、手続その他の行為は、第一条の規定による改正後の農地法(以下「新農地法」という。)第三条第一項の規定又はこの規定に基づく命令の相当規定によってしたものとみなす。
 2 この法律の施行前にされた旧農地法第三条第一項の許可の申請であって、この法律の施行の際、許可又は不許可の処分がされていないものについての許可又は不許可の処分については、なお従前の例による。
 3 新農地法第三条の三第一項の規定は、この法律の施行後に農地又は採草放牧地について新農地法第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者について適用する。
 4 この法律の施行の際現に国又は都道府県が農地を農地以外のものにする行為に着手しているときは、当該行為については、新農地法第四条第一項本文及び第五項の規定は、適用しない。
 5 この法律の施行前に旧農地法第七条第一項第四号の指定を受けた小作地(旧農地法第二条第二項に規定する小作地をいう。以下同じ。)についての農地の転用の制限については、なお従前の例による。

  (小作地等の買収に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にされた旧農地法第八条第一項の規定による公示に係る小作地のその公示に係る買収については、なお従前の例による。
 2 この法律の施行前にされた旧農地法第十四条第二項(旧農地法第十五条第二項、第十五条の三第十項及び第十六条第二項において準用する場合を含む。)又は第十五条第二項において準用する旧農地法第十一条第一項又は第二項の規定による買収令書の交付又はその交付に代わる公示に係る土地、立木、工作物又は水の使用に関する権利のその買収令書の交付又はその交付に代わる公示に係る買収については、なお従前の例による。
 3 この法律の施行前にされた旧農地法第十五条の三第三項の規定による公示に係る農地又は採草放牧地のその公示に係る買収については、なお従前の例による。
 4 この法律の施行前にされた旧農地法第十六条第一項の規定による申出に係る農地又は採草放牧地のその申出に係る買収については、なお従前の例による。

  (利用関係の調整に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前に定められ、又は変更された旧農地法第二条第九項に規定する小作料については、旧農地法第二十二条の規定は、なおその効力を有する。
 2 この法律の施行前に旧農地法第二十六条第一項(旧農地法第三十一条において準用する場合を含む。以下同じ。)の承認の申請があった場合における同項に規定する利用権の設定については、なお従前の例による。
 3 この法律の施行前に旧農地法第二十六条第一項の承認を受けてする協議が調ったこと(旧農地法第三十条第二項(旧農地法第三十一条において準用する場合を含む。)の規定により協議が調ったものとみなされる場合を含む。)により設定された旧農地法第二十六条第一項に規定する利用権(前項の規定によりなお従前の例によりこの法律の施行後に設定された利用権を含む。)については、なお従前の例による。
 4 この法律の施行前に締結された旧農地法第三十二条に規定する契約に係る利用権の保護については、なお従前の例による。

  (農地等の売渡しに関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に旧農地法第三十七条の規定により買受申込書の提出があった場合における農地又は採草放牧地及び当該農地又は採草放牧地の附帯施設(旧農地法第三十六条第二項に規定する附帯施設をいう。以下同じ。)の売渡しについては、なお従前の例による。

  (未墾地等の買収、売渡し等に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前に旧農地法第五十四条第二項の規定により設定されたものとみなされた地役権については、なお従前の例による。
 2 この法律の施行前に旧農地法第六十一条の規定により売り渡された土地、立木、工作物又は権利(以下「土地等」という。)の対価の支払が終了していない場合の当該対価の支払及び徴収については、なお従前の例による。
 3 この法律の施行前に旧農地法第六十一条の規定により売り渡された土地等の検査及び買戻しについては、旧農地法第七十一条及び第七十二条の規定並びに同条第四項において準用する旧農地法第五十条第二項及び第三項、第五十一条第二項及び第三項並びに第五十二条から第五十五条までの規定並びに附則第二十四条の規定による改正前の土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第百十条第三項(同法第百十一条、第三条の規定による改正前の農業振興地域の整備に関する法律(以下「旧農振法」という。)第十三条の五、附則第二十九条の規定による改正前の農住組合法(昭和五十五年法律第八十六号)第十一条、附則第三十条の規定による改正前の集落地域整備法(昭和六十二年法律第六十三号)第十二条及び附則第三十条の規定による改正前の市民農園整備促進法(平成二年法律第四十四号)第六条において準用する場合を含む。)の規定は、なおその効力を有する。
 4 この法律の施行前に旧農地法第六十一条の規定により売り渡された土地等の処分の制限及び当該制限についての違反に対する処分については、なお従前の例による。
 5 この法律の施行前に旧農地法第六十一条の規定により売り渡された土地であって農地又は採草放牧地であるものについては、旧農地法第六十七条第一項第六号の時期到来後三年を経過するまでは、新農地法第三条、第三条の三及び第五条の規定は、適用しない。
 6 この法律の施行の際現に旧農地法第六十一条各号に該当している土地等(第三項の規定によりなおその効力を有することとされる旧農地法第七十二条の規定によりこの法律の施行後に買収した土地等を含む。)の譲与については、なお従前の例による。
 7 旧農地法第七十五条に規定する開墾その他開発のためにする行為についての他の法令の制限又は禁止の規定の適用除外については、なお従前の例による。

  (草地利用権に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に旧農地法第七十五条の二第一項又は第七十五条の七第一項の承認の申請があった場合における旧農地法第七十五条の二第一項に規定する草地利用権(以下「草地利用権」という。)の設定又は存続期間の更新等については、なお従前の例による。
 2 この法律の施行前に旧農地法第七十五条の二第一項又は第七十五条の七第一項の承認を受けてする協議が調ったこと(旧農地法第七十五条の六第二項(旧農地法第七十五条の七第二項において準用する場合を含む。)の規定により協議が調ったものとみなされる場合を含む。)により設定された草地利用権(前項の規定によりなお従前の例によりこの法律の施行後に設定され、又はその存続期間が更新された草地利用権を含む。)については、なお従前の例による。

  (買収した土地等の管理及び売払いに関する経過措置)
第八条 この法律の施行の際現に旧農地法第七十八条第一項の規定により農林水産大臣が管理している土地等(附則第三条の規定によりなお従前の例によりこの法律の施行後に買収した土地等及び附則第六条第三項の規定によりなおその効力を有することとされる旧農地法第七十二条の規定によりこの法律の施行後に買収した土地等を含む。)の管理については、なお従前の例による。
 2 前項の規定によりなお従前の例により管理する土地等については、附則第五条の規定によりなお従前の例により売り渡す場合又は第四項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧農地法第八十条の規定により売り払い、若しくはその所管換若しくは所属替をする場合を除き、新農地法第四十六条の規定の例により売り払うものとする。
 3 前項の場合において、売り払うべき農地又は採草放牧地が旧農地法第三十六条第一項第一号に規定する土地であり、農林水産省令で定めるところにより、同号に掲げる者がその買受けを希望したときは、農林水産大臣は、当該農地又は採草放牧地及び当該農地又は採草放牧地の附帯施設を、その者に売り払わなければならない。
 4 第一項の規定によりなお従前の例により管理する土地等の売払い並びに所管換及び所属替並びに公共用又は公用への転用については、旧農地法第八十条の規定及び附則第二十条の規定により廃止された国有農地等の売払いに関する特別措置法(昭和四十六年法律第五十号)の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)は、なおその効力を有する。この場合において、旧農地法第八十条第一項中「第七十八条第一項の規定により」とあるのは「農地法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第五十七号)附則第八条第一項の規定によりなお従前の例により」と、「自作農の創設又は土地」とあるのは「土地」と、同条第二項中「もの」とあるのは「もの(農地法等の一部を改正する法律附則第三条第一項又は第二項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第一条の規定による改正前の第九条又は第十四条の規定により買収したものを含む。)」とする。
 5 第二項の規定により新農地法第四十六条の規定の例によることとされる土地等の売払い又は前項の規定によりなおその効力を有することとされる旧農地法第八十条の規定による土地等の売払いによって農地又は採草放牧地の所有権が移転される場合は、新農地法第三条及び第三条の三の規定は、適用しない。

  (不服申立てに関する経過措置)
第九条
この法律の施行前にされた旧農地法の規定による処分又はこの附則の規定によりなお従前の
例によりこの法律の施行後にされた処分に係る行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)に
よる不服申立てについては、なお従前の例による。

  (対価等の額の増減の訴えに関する経過措置)
第十条 旧農地法第八十五条の三第一項各号に掲げる対価、借賃又は補償金の額の増減の訴えについては、なお従前の例による。

  (検討)
第十九条 政府は、農地制度における農業委員会の果たすべき役割にかんがみ、農業委員会の組織及び運営について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 2 政府は、農地の農業上の利用の増進等を図る上で農地に係る正確な情報を迅速に提供することが重要であることにかんがみ、農地に関する基本的な資料の整備の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 3 政府は、国内の農業生産の基盤であり、地域における貴重な資源である農地が、それぞれの地域において農業上有効に利用されるよう、農地の利用に関連する計画その他の制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 4 政府は、この法律の施行後五年を目途として、新農地法及び新農振法の施行の状況等を勘案し、国と地方公共団体との適切な役割分担の下に農地の確保を図る観点から、新農地法第四条第一項及び第五条第一項の許可に関する事務の実施主体の在り方、農地の確保のための施策の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 5 政府は、前各項に規定するもののほか、この法律の施行後五年を目途として、新農地法、新基盤強化法、新農振法及び新農協法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

  (国有農地等の売払いに関する特別措置法の廃止)
第二十条 国有農地等の売払いに関する特別措置法(昭和四十六年四月二十六日法律第五十号)は、廃止する。

  (国有農地等の売払いに関する特別措置法の廃止に伴う経過措置)
第二十一条 この法律の施行前に旧農地法第八十条第二項の規定により売り払われた土地等については、前条の規定により廃止された国有農地等の売払いに関する特別措置法の規定(同法の規定に基づく命令の規定を含む。)は、なおその効力を有する。

  (政令への委任)
第四十三条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。