最終改正:平成二十一年五月一日法律第三十七号
(最終改正までの未施行法令)
平成  十九年四月二十三日法律第三十号
平成  十九年七月   六日法律第百九号
平成二十一年五月   一日法律第三十七号

法律 50音 年別(昭和28年)

◇社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年八月十四日法律第二百六号)◇

第一章 社会保険審査官
 第一節 設置

  (設置)
第一条  健康保険法 (大正十一年法律第七十号)第百八十九条 、船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)第六十三条 、厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)第九十条 (同法第百六十九条 において準用する場合を含む。以下同じ。)及び石炭鉱業年金基金法 (昭和四十二年法律第百三十五号)第三十三条第一項 並びに国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第百一条 (同法第百三十八条 において準用する場合を含む。以下同じ。並びに厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律(平成二十一年法律第三十七号。以下「年金給付遅延加算金支給法」という。)第八条(年金給付遅延加算金支給法附則第二条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。))の規定による審査請求の事件を取り扱わせるため、各地方社会保険事務局に社会保険審査官(以下「審査官」という。)を置く。
  2  審査官の定数は、政令で定める。
  (任命)
第二条  審査官は、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が命ずる。

 第二節 審査請求の手続

  (管轄審査官)
第三条  健康保険法第百八十九条 、船員保険法第六十三条 、厚生年金保険法第九十条 若しくは石炭鉱業年金基金法第三十三条第一項 又は国民年金法第百一条 又は年金給付遅延加算金支給法第八条 の規定による審査請求は、次に掲げる審査官に対してするものとする。
 一  地方社会保険事務局長又は社会保険事務所長がした処分に対する審査請求にあつては、その地方社会保険事務局又はその社会保険事務所を管轄する地方社会保険事務局に置かれた審査官
 二  全国健康保険協会、健康保険組合、厚生年金基金若しくは企業年金連合会、石炭鉱業年金基金又は国民年金基金(以下「健康保険組合等」という。)がした処分(企業年金連合会がした処分にあつては、厚生年金保険法 の規定に基づくものに限る。第九条第一項において同じ。)に対する審査請求にあつては、その処分に関する事務を処理した健康保険組合等の事務所の所在地を管轄する地方社会保険事務局に置かれた審査官
 三  社会保険庁長官がした保険給付(国民年金法 による給付並びに年金給付遅延加算金支給法による保険給付遅延特別加算金(厚生年金保険法附則第二十九条第一項の規定による脱退一時金に係るものを除く。)及び給付遅延特別加算金(国民年金法附則第九条の三の二第一項の規定による脱退一時金に係るものを除く。次号及び次条第一項において同じ。)を含む。次条第一項において同じ。)に関する処分に対する審査請求にあつては、審査請求人が当該処分につき経由した地方社会保険事務局(審査請求人が当該処分につき社会保険事務所を経由した場合にあつては、その社会保険事務所を管轄する地方社会保険事務局)又は国民年金法第三条第二項 に規定する共済組合等の事務所の所在地を管轄する地方社会保険事務局に置かれた審査官
 四  国民年金の保険料その他国民年金法 の規定による徴収金の賦課、徴収又は徴収若しくは同法第九十六条 の規定による処分又は年金給付遅延加算金支給法第六条第一項(年金給付遅延加算金支給法附則第二条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による徴収金(給付遅延特別加算金に係るものに限る。)の賦課、徴収若しくは年金給付遅延加算金支給法第六条第二項(年金給付遅延加算金支給法附則第二条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定によりその例によるものとされる同法第九十六条の規定による処分に対する審査請求にあつては、その処分をした機関の所属する地方社会保険事務局(その処分をした機関が社会保険事務所に所属する場合にあつては、その社会保険事務所を管轄する地方社会保険事務局)又はその処分をした市町村の区域を管轄する地方社会保険事務局に置かれた審査官
 五  社会保険庁長官がした国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号)第百十三条第一項 、地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)第百四十四条の二十四の二第一項 又は私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)第四十七条の三第一項 の規定による確認に関する処分に対する審査請求にあつては、審査請求人が当該処分につき経由した地方社会保険事務局(審査請求人が当該処分につき社会保険事務所を経由した場合にあつては、その社会保険事務所を管轄する地方社会保険事務局)に置かれた審査官
  (審査請求の期間)
第四条  審査請求は、被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬若しくは保険給付、標準給与、年金たる給付若しくは一時金たる給付又は国民年金の保険料その他国民年金法 の規定による徴収金若しくは年金給付遅延加算金支給法第六条第一項の規定による徴収金(給付遅延特別加算金に係るものに限る。)に関する処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。但しただし、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかつたことを疎明したときは、この限りでない。
  2  被保険者若しくは加入員の資格、標準報酬又は標準給与に関する処分に対する審査請求は、原処分があつた日の翌日から起算して二年を経過したときは、することができない。
  3  審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者による同条第二項 に規定する信書便で提出した場合における審査請求期間の計算については、送付に要した日数は、算入しない。
  (審査請求の方式)
第五条  審査請求は、政令の定めるところにより、文書又は口頭ですることができる。
  2  審査請求は、原処分に関する事務を処理した地方社会保険事務局、社会保険事務所若しくは健康保険組合等又は審査請求人の居住地を管轄する地方社会保険事務局、社会保険事務所若しくは当該地方社会保険事務局に置かれた審査官を経由してすることができる。
  3  前項の場合における審査請求期間の計算については、その経由した機関に審査請求書を提出し、又は口頭で陳述した時に審査請求があつたものとみなす。
  (代理人による審査請求)
第五条の二  審査請求は、代理人によつてすることができる。
    2  代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
  (却下)
第六条  審査請求が不適法であつて補正することができないものであるときは、審査官は、決定をもつて、これを却下しなければならない。
  (補正)
第七条  審査請求が不適法であつて補正することができるものであるときは、審査官は、相当の期間を定めて、補正を命じなければならない。
  2  審査官は、審査請求人が前項の期間内に補正しないときは、決定をもつて、審査請求を却下することができる。但し、前項の不適法が軽微なものであるときは、この限りでない。
  (移送)
第八条  審査請求が管轄違であるときは、審査官は、事件を管轄審査官に移送し、且つ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
  2  事件が移送されたときは、はじめから、移送を受けた審査官に審査請求があつたものとみなす。
  (保険者に対する通知等)
第九条  審査官は、審査請求を受理したときは、政令の定めるところにより、原処分をした保険者(厚生年金基金若しくは企業年金連合会、石炭鉱業年金基金、国民年金事業の管掌者、国民年金基金、年金給付遅延加算金支給法の規定により保険給付遅延特別加算金若しくは給付遅延特別加算金の事務を行う社会保険庁長官又は健康保険法 の規定により健康保険の事務を行う社会保険庁長官を含む。以下同じ。)及びその他の利害関係人に通知しなければならない。
  2  前項の通知を受けた者は、審査官に対し、事件につき意見を述べることができる。
  (口頭による意見の陳述)
第九条の二  審査官は、審査請求人の申立てがあつたときは、審査請求人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
  (原処分の執行の停止等)
第十条  審査請求は、原処分の執行を停止しない。但し、審査官は、原処分の執行により生ずることのある償うことの困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、職権でその執行を停止することができる。
  2  審査官は、いつでも前項の執行の停止を取り消すことができる。
  3  第一項の執行の停止は、審査請求があつた日から六十日以内に審査請求についての決定がない場合において、審査請求人が、審査請求を棄却する決定があつたものとみなして再審査請求をしたときは、その効力を失う。
  4  執行の停止及び執行の停止の取消は、文書により、且つ、理由を附し、原処分をした保険者に通知することによつて行う。
  5  審査官は、執行の停止又は執行の停止の取消をしたときは、審査請求人及び第九条第一項の規定により通知を受けた保険者以外の利害関係人に通知しなければならない。
  (手続の併合又は分離)
第十条の二  審査官は、必要があると認めるときは、数個の審査請求を併合し、又は併合された数個の審査請求を分離することができる。
  (審理のための処分)
第十一条  審査官は、審理を行うため必要があるときは、審査請求人若しくは第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人の申立てにより又は職権で、左の各号に掲げる処分をすることができる。
  一  審査請求人又は参考人の出頭を求めて審問し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
  二  文書その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留め置くこと。
  三  鑑定人に鑑定させること。
  四  事件に関係のある事業所その他の場所に立ち入つて、事業主、従業員その他の関係人に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査すること。
 2  審査官は、他の審査官に、前項第一号又は第四号の処分を嘱託することができる。
 3  第一項第四号の規定により立入検査をする審査官は、その身分を示す証票を携帯し、関係人から求められたときは、これを呈示しなければならない。前項の規定により嘱託を受けた審査官も、同様とする。
 4  審査官は、審査請求人又は第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人の申立てにより第一項第四号の処分をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所をその申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。
 5  審査官は、審査請求人又は第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人が、正当な理由がなく、第一項第一号若しくは第二項の規定による処分に違反して出頭せず、陳述をせず、報告をせず、若しくは虚偽の陳述若しくは報告をし、第一項第二号の規定による処分に違反して物件を提出せず、又は第一項第四号若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その審査請求を棄却し、又はその意見を採用しないことができる。
 6  第一項の規定による処分は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
  (手続の受継)
第十二条  審査請求人が、審査請求の決定前に死亡したときは、承継人が、審査請求の手続を受け継ぐものとする。
  (審査請求の取下げ)
第十二条の二  審査請求人は、決定があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。
      2  審査請求の取下げは、文書でしなければならない。
  (本案の決定)
第十三条  審査官は、審理を終えたときは、審査請求の全部又は一部を容認し、又は棄却する決定をしなければならない。
  (決定の方式)
第十四条  決定は、文書をもつて行い、且つ、理由を附し、決定をした審査官が、これに署名押印しなければならない。
   2  決定書には、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる旨及び再審査請求期間を記載しなければならない。
  (決定の効力発生)
第十五条  決定は、審査請求人に送達された時に、その効力を生ずる。
   2  決定の送達は、決定書の謄本を送付することによつて行なう。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れないとき、その他決定書の謄本を送付することができないときは、公示の方法によつてすることができる。
   3  公示の方法による送達は、審査官が決定書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を当該審査官が職務を行なう場所の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報に少なくとも一回掲載してするものとする。この場合においては、その掲示を始めた日の翌日から起算して二週間を経過した時に決定書の謄本の送付があつたものとみなす。
   4  審査官は、決定書の謄本を第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人に送付しなければならない。
  (決定の拘束力)
第十六条  決定は、第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人を拘束する。
  (文書その他の物件の返還)
第十六条の二  審査官は、決定をしたときは、すみやかに、事件につき提出された文書その他の物件をその提出人に返還しなければならない。
  (決定の変更等)
第十七条  決定の変更及び更正については、民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第二百五十六条第一項 (変更の判決)及び第二百五十七条第一項 (更正決定)の規定を準用する。この場合において、これらの規定中「裁判所」とあるのは「審査官」と、「判決」とあるのは「決定」と、同法第二百五十六条第一項 中「その言渡し後一週間以内」とあるのは「その決定書の謄本が審査請求人に送付された後二週間以内」と、「弁論」とあるのは「審理のための処分」と読み替えるものとする。
  (不服申立ての制限)
第十七条の二  この節の規定に基づいて審査官がした処分については、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
  (政令委任)
第十八条  この節に定めるもののほか、審査請求の手続は、政令で定める。

第二章 社会保険審査会
 第一節 設置及び組織

  (設置)
第十九条  健康保険法第百八十九条 、船員保険法第六十三条 、厚生年金保険法第九十条 、石炭鉱業年金基金法第三十三条第一項 及び国民年金法第百一条 及び年金給付遅延加算金支給法第八条 の規定による再審査請求並びに健康保険法第百九十条 、船員保険法第六十四条 、厚生年金保険法第九十一条 (同法第百六十九条 において準用する場合を含む。第三十二条第二項において同じ。)及び石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項及び年金給付遅延加算金支給法第九条(年金給付遅延加算金支給法附則第二条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。) の規定による審査請求(年金給付遅延加算金支給法第九条の規定による厚生年金保険法附則第二十九条第一項の規定による脱退一時金に係る保険給付遅延特別加算金に係るもの及び国民年金法附則第九条の三の二第一項の規定による脱退一時金に係る給付遅延特別加算金に係るものを除く。第三十二条第二項において同じ。)の事件を取り扱わせるため、厚生労働大臣の所轄の下に、社会保険審査会(以下「審査会」という。)を置く。
  (職権の行使)
第二十条  審査会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。
  (組織)
第二十一条  審査会は、委員長及び委員五人をもつて組織する。
  (委員長及び委員の任命)
第二十二条  委員長及び委員は、人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命する。
    2  委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために、両議院の同意を得ることができないときは、厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。
    3  前項の場合においては、任命後最初の国会で、両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、厚生労働大臣は、その委員長又は委員を罷免しなければならない。
  (任期)
第二十三条  委員長及び委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
    2  委員長及び委員は、再任されることができる。
  (身分保障)
第二十四条  委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
 一  破産手続開始の決定を受けたとき。
 二  禁錮以上の刑に処せられたとき。
 三  審査会により、心身の故障のため、職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。
  (罷免)
第二十五条  厚生労働大臣は、委員長又は委員が前条各号の一に該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。
  (委員長)
第二十六条  委員長は、会務を総理し、審査会を代表する。
    2  審査会は、あらかじめ委員のうちから、委員長に故障があるときに委員長を代理する者を定めて置かなければならない。
  (合議体)
第二十七条  審査会は、委員長及び委員のうちから、審査会が指名する者三人をもつて構成する合議体で、再審査請求又は審査請求の事件を取り扱う。
    2  前項の規定にかかわらず、審査会が定める場合においては、委員長及び委員の全員をもつて構成する合議体で、再審査請求又は審査請求の事件を取り扱う。
第二十七条の二  前条第一項又は第二項の各合議体を構成する者を審査員とし、うち一人を審査長とする。
      2  前条第一項の合議体のうち、委員長がその構成に加わるものにあつては、委員長が審査長となり、その他のものにあつては、審査会の指名する委員が審査長となる。
      3  前条第二項の合議体にあつては、委員長が審査長となり、委員長に故障があるときは、第二十六条第二項の規定により委員長を代理する委員が審査長となる。
第二十七条の三  第二十七条第一項の合議体は、これを構成するすべての審査員の、同条第二項の合議体は、四人以上の審査員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
      2  第二十七条第一項の合議体の議事は、その合議体を構成する審査員の過半数をもつて決する。
      3  第二十七条第二項の合議体の議事は、出席した審査員のうちの三人以上の者の賛成をもつて決し、賛否それぞれ三人のときは、審査長の決するところによる。
  (委員会議)
第二十七条の四  審査会の会務の処理(再審査請求又は審査請求の事件の取扱いを除く。)は、委員長及び委員の全員の会議(以下「委員会議」という。)の議決によるものとする。
      2  委員会議は、委員長及び過半数の委員の出席がなければ、これを開き、議決をすることができない。
      3  委員会議の議事は、出席した委員長及び委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
      4  審査会が第二十四条第三号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、出席した委員長及び委員のうちの本人を除く全員の一致がなければならない。
  (給与)
第二十八条  委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。
  (特定行為の禁止)
第二十九条  委員長及び委員は、在任中、左の各号の一に該当する行為をしてはならない。
 一  国会若しくは地方公共団体の議会の議員その他公選による公職の候補者となり、又は積極的に政治活動をすること。
 二  厚生労働大臣の許可のある場合を除くほか、報酬のある他の職務に従事すること。
 三  営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
  (利益を代表する者の指名)
第三十条  厚生労働大臣は、健康保険、船員保険及び厚生年金保険(厚生年金基金及び企業年金連合会並びに石炭鉱業年金基金の行う事業を含む。)ごとに、被保険者(厚生年金基金の加入員並びに石炭鉱業年金基金法第十六条第一項 に規定する坑内員及び同法第十八条第一項 に規定する坑外員を含む。第三十九条第二項において同じ。)の利益を代表する者及び事業主(船員保険にあつては、船舶所有者)の利益を代表する者各二名を、関係団体の推薦により指名するものとする。
   2  厚生労働大臣は、国民年金の被保険者及び受給権者の利益を代表する者四名を指名するものとする。
第三十一条  削除

 第二節 再審査請求及び審査請求の手続

  (再審査請求期間等)
第三十二条  健康保険法第百八十九条第一項 、船員保険法第六十三条第一項 、厚生年金保険法第九十条第一項 若しくは石炭鉱業年金基金法第三十三条第一項 又は国民年金法第百一条第一項 又は年金給付遅延加算金支給法第八条第一項 の規定による再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。
    2  健康保険法第百九十条 、船員保険法第六十四条 、厚生年金保険法第九十一条 又は石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項 又は年金給付遅延加算金支給法第九条 の規定による審査請求は、当該処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。
    3  第四条第一項ただし書及び第三項の規定は、前二項の期間について準用する。
    4  第五条の規定は、第一項に規定する再審査請求に準用する。
    5  第一項の再審査請求及び第二項の審査請求においては、原処分をした保険者(健康保険法第百八十条第四項 、船員保険法第十二条ノ二第一項 及び厚生年金保険法第八十六条第五項 (同法第百四十一条第一項 及び第百六十四条第二項 並びに石炭鉱業年金基金法第二十二条第一項 において準用する場合並びに年金給付遅延加算金支給法第六条第二項の規定によりその例によるものとされる場合を含む。)並びに国民年金法第九十六条第四項(年金給付遅延加算金支給法第六条第二項の規定によりその例によるものとされる場合を含む。) の規定による請求を受けて処分をした者を含む。以下同じ。)をもつて相手方とする。
  (保険者等に対する通知)
第三十三条  審査会は、再審査請求又は審査請求を受理したときは、政令の定めるところにより、原処分をした保険者及び第三十条第一項又は第二項の規定により指名された者に通知しなければならない。
  (参加)
第三十四条  審査会は、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、利害関係のある第三者を当事者として再審査請求又は審査請求の手続に参加させることができる。
    2  審査会は、前項の規定により第三者を手続に参加させるときは、あらかじめ当事者及び当該第三者の意見を聞かなければならない。
  (原処分の執行の停止等)
第三十五条  再審査請求及び審査請求は、原処分の執行を停止しない。但し、審査会は、原処分の執行により生ずることのある償うことの困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、職権でその執行を停止することができる。
    2  審査会は、いつでも前項の執行の停止を取り消すことができる。
    3  執行の停止及び執行の停止の取消は、文書により、且つ、理由を附し、原処分をした保険者に通知することによつて行う。
    4  審査会は、執行の停止又は執行の停止の取消をしたときは、原処分をした保険者以外の当事者に通知しなければならない。
  (審理の期日及び場所)
第三十六条  審査会は、審理の期日及び場所を定め、当事者及び第三十条第一項又は第二項の規定により指名された者に通知しなければならない。
  (審理の公開)
第三十七条  審理は、公開しなければならない。但し、当事者の申立があつたときは、公開しないことができる。
  (審理の指揮)
第三十八条  審理期日における審理の指揮は、審査長が行なう。
  (意見の陳述等)
第三十九条  当事者及びその代理人は、審理期日に出頭し、意見を述べることができる。
    2  第三十条第一項の規定により指名された者のうち、被保険者の利益を代表する者は、同項に規定する各保険の被保険者たる当事者の利益のため、事業主の利益を代表する者は、事業主たる当事者の利益のため、それぞれ審理期日に出頭して意見を述べ、又は意見書を提出することができる。
    3  第三十条第二項の規定により指名された者は、国民年金の被保険者又は受給権者たる当事者の利益のため、審理期日に出頭して意見を述べ、又は意見書を提出することができる。
  (審理のための処分)
第四十条  審査会は、審理を行うため必要があるときは、当事者若しくは第三十条第一項若しくは第二項の規定により指名された者の申立てにより又は職権で、左の各号に掲げる処分をすることができる。
    一  当事者又は参考人の出頭を求めて審問し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
    二  文書その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留め置くこと。
    三  鑑定人に鑑定させること。
    四  事件に関係のある事業所その他の場所に立ち入つて、事業主、従業員その他の関係人に質問し、又は帳簿、書類その他の物件を検査すること。
    五  必要な調査を官公署、学校その他の団体に嘱託すること。
   2  審査会は、審査員に、前項第一号又は第四号の処分をさせることができる。
   3  前項の規定により立入検査をする審査員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人から求められたときは、これを呈示しなければならない。
   4  審査会は、当事者が、正当な理由がなく、第一項第一号若しくは第二項の規定による処分に違反して出頭せず、陳述をせず、報告をせず、若しくは虚偽の陳述若しくは報告をし、第一項第二号の規定による処分に違反して物件を提出せず、又は第一項第四号若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その再審査請求若しくは審査請求を棄却し、又はその意見を採用しないことができる。
   5  第十一条第四項及び第六項の規定は、第一項の規定による処分に準用する。
  (調書)
第四十一条  審査会は、審理の期日における経過について、調書を作成しなければならない。
    2  利害関係人は、厚生労働省令の定める手続に従い、前項の調書を閲覧することができる。
  (合議)
第四十二条  審査会の合議は、公開しない。
  (裁決の方式)
第四十三条  裁決は、文書をもつて行い、且つ、理由を附し、審査長及び合議に関与した審査員が、これに署名押印しなければならない。審査長又は合議に関与した審査員が署名押印することができないときは、合議に関与した審査員又は審査長が、その事由を附記して署名押印しなければならない。
  (準用規定)
第四十四条  第五条の二、第六条、第七条、第十条の二、第十二条、第十二条の二、第十三条、第十五条、第十六条の二及び第十七条の規定は、再審査請求又は審査請求の手続に、第十七条の二の規定は、この節の規定に基づいて審査会がした処分に準用する。この場合において、これらの規定中「審査官」とあるのは「審査会」と、「決定」とあるのは「裁決」と、「決定書」とあるのは「裁決書」と、第十二条、第十二条の二、第十五条及び第十七条中「審査請求人」とあるのは「再審査請求人又は審査請求人」と読み替えるものとする。
  (政令委任)
第四十五条  この節に定めるもののほか、再審査請求及び審査請求の手続は、政令で定める。

第三章 罰則

第四十六条  第十一条第一項第四号若しくは第二項又は第四十条第一項第四号若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。但し、審査官が取り扱う審査請求事件の審査請求人若しくは第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人又は審査会が取り扱う再審査請求事件若しくは審査請求事件の当事者は、この限りでない。
第四十七条  左の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。但し、審査官が取り扱う審査請求事件の審査請求人若しくは第九条第一項の規定により通知を受けた保険者その他の利害関係人又は審査会が取り扱う再審査請求事件若しくは審査請求事件の当事者は、この限りでない。
 一  第十一条第一項第一号若しくは第二項又は第四十条第一項第一号若しくは第二項の規定による処分に違反して出頭せず、陳述をせず、報告をせず、又は虚偽の陳述若しくは報告をした者
 二  第十一条第一項第二号又は第四十条第一項第二号の規定による物件の所有者、所持者又は保管者に対する処分に違反して物件を提出しない者
 三  第十一条第一項第三号又は第四十条第一項第三号の規定による鑑定人に対する処分に違反して鑑定をせず、又は虚偽の鑑定をした者
第四十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、第四十六条又は前条第一号若しくは第二号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、前二条の罰金刑を科する。

   附 則 (抄)

  (施行期日)
1  この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。
  (従前の手続の効力)
12  この法律の施行前に、社会保険審議会、社会保険医療協議会、社会保険審査官及び社会保険審査会の設置に関する法律による社会保険審査官又は社会保険審査会がした請求の受理その他の手続は、この法律による社会保険審査官又は社会保険審査会がした請求の受理その他の手続とみなす。
  (従前の訴訟行為の効力)
13  従前の社会保険審査会を被告とする訴訟で、この法律の施行の際裁判所に係属しているものについては、従前の社会保険審査会のした訴訟行為は、この法律による社会保険審査会のした訴訟行為とみなす。
14  当分の間、第十九条の規定の適用については、同条中「及び石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項」とあるのは、「及び附則第二十九条第五項、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項並びに国民年金法附則第九条の三の二第五項、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項及び」とあるのは「及び附則第二十九条第五項、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項、国民年金法附則第九条の三の二第五項並びに」と、「審査請求(年金給付遅延加算金支給法第九条の規定による厚生年金保険法附則第二十九条第一項の規定による脱退一時金に係る保険給付遅延特別加算金に係るもの及び国民年金法附則第九条の三の二第一項の規定による脱退一時金に係る給付遅延特別加算金に係るものを除く。第三十二条第二項において同じ。)」とあるのは「審査請求」とし、第三十二条第二項の規定の適用については、同項中「又は石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項」とあるのは、「若しくは附則第二十九条第五項、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項又は、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項」とあるのは、「若しくは附則第二十九条第五項、石炭鉱業年金基金法第三十三条第二項、国民年金法附則第九条の三の二第五項」とする。

   附 則 (平成二十一年五月一日法律第三十七号) 抄

  (施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
  (関係法律の整理)
第七条  前二条に定めるもののほか、この法律の施行に伴う関係法律の整理については、別に法律で定める。
  (その他の経過措置の政令への委任)
第八条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。